ぱるるの教育批評

教育、受験、学校その他あれこれ

期末中間試験で、担当学級のみ高得点をとらせる方法。能力不足の教員は、無駄な競争がお好き。

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能力不足か人の煩悩ゆえか、同僚との競争に明け暮れるのは、中高の教員である。
教科に相応しい能力を持つ教員は、いったいどこにいるのだろう。

並み居る児童生徒学生の中には、教員を凌ぐ者がいる。というより、大部分だろう。とすると、教員は厚顔無恥にならざるを得ない。
そうでないのは、もとより論外の子供たちで、そんな子ばかりを集めた学校が他にある。などと言うと、大方からお叱りを受けそうだが、それぞれの事情である。

問題は、日本全国の大部分の小中学高校大学その他である。面倒だから、教育者を教員、被教育者を子供、と呼ぼう。いい年をした大学院のおじ様おば様までも、子供というのはどうかと思うが、便宜上、そう呼ぶ。
子供と教員との関係は、知識学力見識で、教員が子供より上であるのが自然である。そうでなければ、落ち着いて「先生」ができない。子供の方が優れていれば、先生は不安であり、穏やかではない。

それはそうとして、厄介な問題がある。
ここに某高校2年生6クラスがある。某教科をABCの3人の教員が、Aが1組2組、Bが3組4組、Cが5組6組を各々担当するとしようか。
それが、どうしたと思うだろうが、すぐに乱闘になる。激烈な競争になる。
ABCとも、自分が受け持つクラスに、中間期末各試験で、常にトップの成績をとらせたい。平均点を高くしたい。担当クラスから、学年1位の子供を出させたい。
どうせ、中堅の公立高校である。生徒の大半は、どこかの国公私立大へ行く。安心すればいいものを、教員は、ほとんどノイローゼである。無我夢中である、寝食を忘れる、狂ったように教え込む、叱咤激励、子供を小突き回す。
ばかばかしいようだが、当人たちは必死である。
他の教員を出し抜くためには、見え透いた権謀術数の限りを尽くす。
例えば、Aが試験作成の担当になると、しめたとばかりに、自分の担当クラスだけ有利になるように、問題を作って、その内容を、ぎりぎりまでBCに教えない。一方では、担当クラスには、解答すれすれの授業をする。
もともと教科の試験は、教科の教員全員で、大枠の了解事項を決める。でないと、学年全体の学習歩調が揃わない。試験日の1週間以上前に、他の教員に試験原案を見せなければならない。それを隠す。熟慮中だの、未完成だの、何とかだのと、ぐずぐずとごまかして渡さない。BCが問題を見て、授業で試験対策をされるのが嫌なのである。
担当クラスにはできるだけ有利に、他のクラスには決定的に不利になるように、無い知恵絞る。

笑うべし、憐れむべし。これも人情と言いたいが、そうではない。
単なる、「愚か」である。
つまりは、教員としての能力が不足しているのである。

こんな例を嫌というほど見聞きしてきたが、この現象が多くみられるのは、公立高校のすべてと、私立高校の中堅から下のランクの学校、及び、公立中学のほぼ半分である。
国立の小中高はない。私立の名実ともにトップクラスの高校にもない。

理由はお分かりだろう。いちいち書く煩に堪えないから、私立のトップ高校のみ、言おうか。
同一学年の全クラスを一人の教員が教えることが多いからである。だから全く競争がない。好きなように、やればいいので、楽ちんかつ精神衛生上とてもいい。子供はもとより優秀で、制止しても勝手に勉強するような連中である。学校教員全員が、それを知っているので、安心して、甘えた体制を続けることができる。

知人の言によれば、かつて某校では、英語の時間に教員が黒板を背にして教卓にうつ伏せで寝ている。授業終わりのチャイムで、つと顔を上げ、では、と教室を出て行った。いい気なものだが、それでも日本のトップ校の一つだから、非難されない。
授業は、洪庵の適塾方式である。
今はどうだか知らない。

 

公立高校は、親方日の丸だから、安直な授業をしているのだろうと思ったら、大間違いである。
上記のごとく、教員自身の劣等感と不全感とで醸成された競争意識で、異常に熱心すぎる授業が行われている。
その一方で、大方の私立高校の未来はない。

ゆっくりたっぷりでいいはずの公立学校教員が、全速力で走っているのに、私立学校教員は、のんびりと甘い低空飛行である。
親はどう見るか、子供はどう見るか。

今時、私立の中学高校へ受験させる意味があるのかと、真顔で問われた知人は、人それぞれの金の使い道、好きでいい、と答えたそうである。

 

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