ぱるるの教育批評

教育、受験、学校その他あれこれ

私立中学も公立中学も同じなら 無料の国公立がいいよね

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公立中学校の噂は、よくなかった。
公立中学の生徒は、反抗的だ。素直でない。学力がつかない。高校入試で苦労する。教員は教科指導よりも、生活指導に追われている。悪い仲間に引きずられやすい。
ただでさえ、難しい時期なのに、学校があれでは、親も子も不安はつのるばかりだった。

しかし近年、公立中は、評判を持ち直しているようだ。
世間は不景気になった。無理して有名私立に行かせなくても、まして、二流または二流未満の私立に行かせるくらいなら、公立中学校で十分と考える親が増えた。公立の生徒も、以前ほど無茶苦茶に暴れなくなった。これも時代だろう。

 

公立は、ただである。私立は金がかかる。金がかかった割には、得がない。むしろ、私立の教員は、公立の教員より低レベルで、生徒の学力を十分につけることができないのではないか。
月謝を払って、高い制服を買ってやって、遠くまで通わせて、その挙句が、この体たらくである。私立学校の良いところは、いったい何だろう。

ただし、一流中の一流は、というより、そのように世間で勘違いされている私立中は別物である。教員の実力なんか、最初から問題ではない。親子ともども、学校名のみで、当該私立学校の大ファンなのである。
つくづく、ファンとは有り難いものである。

 

私立学校に子供を受験させようとする家庭は、穏やかではない。
まず入れるかどうかが、はっきりしない。人気校に合格するのは簡単ではない。小学校入学以来、金銭的にも体力的にも、何年間も無理を重ねてきた。学習塾や家庭教師にも、ずいぶん投資をしてきた。
数校の受験料だけでも何十万の出費である。子供のプレッシャーも並ではない。
どこか日本の教育はおかしいのではないか、と考えたくもなる。


私立志向の親子が減ってきたのは、西暦2000年頃からである。
小学校は地元の公立に行かせる。私立の中高一貫の進学校に入学できる実力があっても、公立中学校(国立大付属中も含む)で十分だと考える親が増えてきた。
公立中には多くの問題があることは承知している。しかし、無理をして学費の高い私立へ通わせたところで、実利がない、と判断したのである。
第一に、今のご時世、親が高収入かつ安定した職でなければ、子供の学費を払い続けることに不安がある。
第二に、私学に行かせたからといって、希望の大学に入れるとは限らない。
第三に、首尾よく、志望大学に滑り込んだとしても、よい就職先がない。つまりは、元の木阿弥である。
だったら、最初から無理したくない。させたくない。できない。
普通の公立に行って、普通に卒業すればよしとする。それで就職があれば幸せで、なければ、どこなりと探すだけである。
たとえ、三流四流と呼ばれる大学でも、一応の生活ができて、本人なりの自負と幸せとを感じることができれば、十分どころか立派な職業人である。そう観念するのが、大人である。

 

進学も就職も、子供本人が、その気になって努力しなければ、競争に勝てるわけがない。
学校も同じことで、本人次第である。
私立もだめ、公立もだめ。そう考えるなら、結局は、どこでもいいのである。

 

初出 20210920

改訂 20230902