ぱるるの教育批評

教育、受験、学校その他あれこれ

知床観光船、セウォル号沈没、飛行機落下、運なのか判断か。

北海道で遊覧船が沈んで乗員全員が死んだ。冬の海に出て、浸水転覆したら、まず助からないだろうことは、想像がつく。水温は3度か4度である。海に投げ出されたら、10分と持たないだろう。なぜ乗船したか。しかし、あなたも私も、乗るだろう。


知人が、福岡から釜山まで、ビートルとかいうジェットフォイル船で行く。海が荒れているため途中で引き返すかもしれないというアナウンスが、乗船前にあったが、誰も躊躇しない。続々乗り込む。福岡釜山間213キロを3時間余りで行くのである。日本海のただなかで、途中で引き返すなんてことが可能なのか。転覆したら一巻の終わりである。

案の定、出港して1時間ほどで、すごいことになってきた。波の高さは4メートル以上あって、海底から空に放り出されるような揺れが続いて、客たちは、のたうち回った。釜山で試合があるというサッカー部の高校生が20人以上乗っていたが、元気の良い彼らでも床に吐く者が続いた。売店の若い売り子が真っ青なのを見て、知人は、こりゃ助からないかもしれないなと、思ったそうである。
そうこうするうちに、ビートルは、釜山にたどり着いて命拾いをしたのである。荒れた海で引き返すなんてことはできない。行くも地獄、帰るも地獄である。


太平洋の真ん中で、飛行機がえらく乱高下する。ちょっと尋常ではないので、満員の客たちも不安げに当たりを見まわしだした。いつもの放送をただ信じる人なんていやしない。
その時、8歳くらいの少年が、「パパ、落ちたらどうなるの」と言う。パパは「みんな死ぬんだよ」と小声で返した。笑えない冗談である。


船は沈む、飛行機は落ちる。
確率が小さいのは、それだけ多く動いているからで、空でも海でも、乗るときは、自らの判断である。

思い出されるのは、韓国フェリー沈没事件で、高校生のほとんどは、船が傾きつつあるのに、そのまま部屋に待機しろという教員の放送を信じ込んで、死んだのである。生死を分けたのは、当人の判断である。
こりゃやばい、外に出よう、という行動基準は、高校生なら持っていなければならない。他人の指示を鵜呑みにすると、危険が広がる。

あれもこれも人生の賭けである。進学就職結婚はもちろんこと、毎日が判断の連続で、あの時ああしていたら、この時こうだったなら、なんて、あまりに多すぎて、あえて忘れたふりをする。そして実際に忘れる。