ぱるるの教育批評

教育、受験、学校その他あれこれ

甘える大学図書館。文庫本をスタバで読むのがカッコいい。

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大学図書館のロビーに、年に数回、棚が設置せられ、「ご自由にお持ちかえりください」の札とともに、本が数十冊並ぶ。
本好きの学生なら、喜んで持ち帰ってよさそうなものだが、一向に減らない。やがて一週間もすると、棚は撤去された。

棚卸というのかどうかは知らないが、他の大学図書館でも、これに似たことをやっている。担当者に聞いてみると、本を持ち帰る学生がほとんどいないそうである。
駄本ばかりではない。良い本もある。版が古いだけで、高価な本もある。
なぜ持ち帰らないのだろう。


ブックオフとかの大手の古本屋チェーンにはいつも人がいっぱいである。繁盛しているように思える。売る人も多いが買う人も多い。
そこの仕入れ担当が言うには、箱本は価値がない、売れないのだそうである。むしろ安っぽい文庫や新書の方がいい。
現代人は、本が場所を占めることを嫌がる。部屋が狭い。大型の本は、読むのに机が要る。そんなもの置く場所がない。寝転がって読む、または電車で読む、歩きながら読む。
恰好をつけて、コーヒー屋で飲む。ドトールよりもスタバがおしゃれ、なんだそうである。あの狭いテーブルで読むには、なるほど文庫サイズがいい。週刊誌の薄さがいい。第一、あんなところで、箱本を読むなんて、ダサい。

スマホで読むなら、漫画か、ブログか、ヤフーの類の短いニュース記事である。ラインである、フェイスブックである、ツイッターである。
小さな画面では、大量のテキストなんて読み続けることができないだろう。
かといって、薄いノートパソコンやパッド型のモバイルPCなら、大部の本を読むことができるだろうか。できないだろう。

しかし、読むことよりも書くことから考えると、デジタルの方が、よほどいい。文章が無色透明で味のないレトルト食品のようになったにしても、各個人が、自分の意見を簡単に公にする手段は、なかったのだ。ネットならば、日本語の制約があるにしても、瞬時に世界を結ぶことができる。だったら、英語で書け、という突っ込みは止めてくれ。私たちは日本人である。日本語で十分過ぎる。ただし、読者は国内に限られる。

海外赴任は、当人にとって誇りでもあり金銭的有利さもあったが、開発途上国に行くと、残された家族は不安があった。
今ではこれは、格段に減少している。ネットで瞬時に対面できる。顔色だって、体調だって、即座にわかる。なんというお気楽さだろう。
距離は離れていても、状態把握は、隣の部屋にいるのと変わりはない。

本は、紙で読んでいる頃は、無駄が多かった。内容も分からずに、駄本を買い集めたこともある。ネットのおかげで、然るべき筋の評価もわかり、数ページではあるが原文までも、あらかじめ読むことができる。
購入の失敗が減った。ネット様様である。
ネットの効用は、紙の本よりも電子媒体を利用する傾きになるだろう。目の良い学生なら、なおさらである。

しかし、紙本には、紙本の良さがある。デジタルではなく、書籍という物体として残る方が、確実な気がするからだ。
図書館で実際に手に取って、ページを繰るにはそれなりの理由があるし、いかにも読んだ気がするのも、紙本である。
とはいっても、モノ書籍は、置き場所や金がかかる。いったいどうすればいいか。
つまり、勉強を、しなければいいのである。こういうふうに、学生が考えることも自然である。大部の本に挑んで、落ち着いて学習できる環境がないのである。あっても、やる気がないのである。

図書館では、なるほど、多くの学生が熱心に勉強している。ところが彼らは、ここでしか、勉強しない。物理的にできない。
にもかかわらず、今でも、多くの大学では、物的人的な図書館運営サービスがお粗末である。そのくせ、学生や保護者に甘えているようなところがある。たとえば、目白の某大学なんて、たるみ切っている。所用で行くたびに、G大学図書館の施設並びに関係者の不親切、不手際、いい加減な対応には、怒りすら感じる。
あれでは学生が離れるだろう。新宿のW大図書館は、その点、よほどましである。

大学は図書館に尽きる。教員がアレなのだから、せめて、図書館サービスなりと、充実させて、一畳一間の貧乏学生にも、学校の図書館にさえ行けば、冷暖房完備でいつでも何時間でも、落ち着いて勉強ができる環境を提供せよ。
現に、都内でも、地方でも、そんな大学がいくつもある。学生に、できるだけの便宜をすることが、高い授業料をふんだくっている「営利団体」の、せめてもの償いではないのか。

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と。以上は、コロナ騒動の前に書いたものである。

コロナごっこになって、ますます、教育機関はたるみ切った。特に大学は、対面すらもしなくていことになり、教員自身も何が何だか分からなくなり、ほとんど趣味と暇つぶしで、日々を暮らしている。

もとより大学教員に期待は持てない。

大学の唯一の利点は、図書館であるのに、2021年11月末の現在、コロナごっこの影響とやらで、開放を制限する。あのな、自由に利用できてこその大学図書館である。

学生や教職員のみ、使用をさせていたら、すぐに腐ってしまう。外部の厳しい目が必要なのだ。せめて図書館くらいは、さっさと開けるがよかろう。