ぱるるの教育批評

教育、受験、学校その他あれこれ

英会話は無駄である。英語を選択制にして、日本語を徹底せよ。マライヤキャリー。

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東京でオリンピックの予定である。何かと騒がしい。
おもてなし英語とやらで、英会話ごっこのパレードである。

日本人の英語力は低いというが、統計など持ち出さなくたって、我が身を振り返れば、すぐわかる。
嫌々とはいえ、十年以上も学校で英語を学んできたはずなのに、会話はおろか、手紙はおろか、英語雑誌ひとつ、スラスラ読むことができない。
それもそのはずで、中途半端な水で薄めたような英語授業らしきものを、小出しに習ってきただけなので、すぐに忘れる。

学習には集中が必要である。短期間に、数少ない対象に没頭して、それで初めて、多少の素養がある場合のみ、ものになる。

例えば、社交ダンスである。
受講者を長期間、講座につなぎとめるために、主催者側が、わざと習得を困難にしているとしか思えない。
週一回わずか一時間足らずのレッスン中に、ワルツ・ルンバ・タンゴ・サルサ・チャチャチャなどを数分間に分けて押し込める。

習う方は何がなんだかわからない。かろうじてその中のいくつかのステップを、ほんの少し理解したような気になっても、次の週にはまったく忘れている。
またも最初から出直しである。こうして、受講者は何期分も月謝を払う羽目になるのだが、それでも、ダンスの腕が上がった人を知らない。

英語教育も同じことで、薄めた内容をだらだら続けているから、全然、身につかない。
「英会話の時間」だなんて、幼児のような片言を、十代の子供に言わせている。子供たちも、馬鹿にして、やる気なんかない。「ですいず ぶっく、ひいいず もんき」なんて、教員を指差して廊下で笑っている。

日本人の英会話礼賛も、いい加減にしたらどうだろう。
義務教育では、読解、作文を、集中して鍛えればいい。そうすれば、子供も少しはやる気が出る。少しはそれらしい「英語力」がつくだろう。
彼らは、愚かな「猿」ではない。

そういえば、かつてウタダヒカルとかいう歌い手がいた。日本語の語感を無視した意味不明な歌詞とメロディとで、少しく話題になった。
当時から、正しい日本語のアクセントではない、歌詞がよく聞き取れない、などと批評された。
久しぶりに聞いてみたが、マライヤ・キャリーの物真似のようではあるものの、思ったほど悪くない。
今の歌芸人は、日本語の歌詞や発音が、ますますひどいことになっているので、ウタダの方が、むしろ聞きやすいと感じるぐらいである。
英語のように、耳に依存する言葉と、日本語のように目に依存する言葉との違いを、歌芸人は、十分意識しなければならない。


さて、皆さんお気づきの通り、テレビやラジオに出る話し手の発音と言い回しとが、あまりに汚い。
英語どころではない。日本語の使い方を学ばなければならない。
発音が悪い、話の内容が曖昧模糊としている、一文一文が意味をなしていない。そのくせ、妙に以心伝心を期待するような阿(おもね)りがある。

テレビラジオは、国語の敵である。
即刻、視聴を止せ。テレビなんぞを見るより、日本語の名文を朗読し、古文に親しむ方が良いに決まっている。
テレビラジオ新聞その他は、どんなにインテリぶったところで、どうせ安物のエンターテイメントである。

娯楽が悪いとは言わない。大いに結構である。
だが、マスコミは、自分を娯楽だとは思っていない。
よりによって「真実」の「求道者」だとか、「民意の先導者」だとか、勝手に勘違いしている。愚かさもここまで来ると、怖い。

テレビ局ごときが、自分では「報道機関」だと、本気に考えている節がある。挙げ句の果てには「使命感」などと言い出す。
お笑いと他人の悪口とゴシップで、食しているくせに、国民を教化できる気でいる。
どこまで、傲慢で野蛮で卑劣な連中だろう。
ゆめゆめ、油断してはならない者どもである。

ある時、知人の子が学校から、「NIE」なんとかのチラシを持って帰った。新聞を読もう、の類の宣伝紙である。こんな拡販材料を、新聞社の宣伝人から受けとって、児童生徒に配る学校も学校である。
新聞は、ネットの普及で、先行きが暗い。購買層を今から確保しておこうという魂胆である。
「新聞を通しての教育」だって? 冗談じゃあない。何様のつもりだ。

願わくば、教員達が、英語に加えて、また新たな「のぼせ上がる対象」を、新聞を通しての学習、とやらに求めないことを願う。


と、書いたのも、以前である。
さすがに、今では、新聞紙の凋落は明らかで、世間知らずの学校も拒否するのではなかろうか。今度、問うてみよう。
英会話ブームも、日本では英語なんか必要なく毎日過すことができる。たとえ、必死に学んで英語を習得したにせよ、英会話らしきことができたにせよ、毎日使わなければ、どうせすぐに忘れるだろう。結局、時間の無駄である。

 

〇  良書である。

閉された言語・日本語の世界【増補新版】 (新潮選書)

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〇  この頃は、皆さん若かった。ゆく川の流れ、である。

日本・日本語・日本人 (新潮選書)

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