読書
某氏来たりて言うには。 車整備、モルタル塗り、ブロック積みの如きは、ネット動画のハウツーを利用しても、いいだろう。しかしながら、それ以外の一切、特に、学問思想の如き、政治経済社会現象の如き、批難愚痴自慢の如き、価値判断内面内心が関わることは…
コロナ騒動寸前のことだったか。 ある夕刻、某立ち飲み居酒屋で飲んでいると、隣の中年客が生ビールをあおりながら、盛んに記事初校に朱を入れている。社の机上ならともかく、帰りがけに一杯やりながら、左手にコピーをもって推敲とは乙じゃないかと、ひょい…
前回、ネットを利用して陰謀論の類を売り付け、利を得る詐欺商売人たちについて、話した。 そもそも、真実だの事実だの正義だのを振りかざすのなら、無料が当然である。正しい知識を、隠して金をとって売りつけようなんて、子供でも、それがインチキと理解で…
ある人来りて、嘆じていわく。 人は説教をするのも聞かされるのも、大好きで、上から目線で、何かを言ってもらいたくて仕方がない。 よくある「陰謀論」も、その類で、説教を拝聴して、嬉しくて、あなたは知らないが私は知っていると、思いたい。自分は人よ…
暇人曰く。 コロナ騒動で近所の大学が閉鎖されて、図書館が使えない。読書しようにも、本がない、場所がない。とまでは言わないが、大概の本は、大学図書館で見つけることができるから、そこから引っ張り出して読むことが多い。 それができないと、読む手立…
知人嘆いて曰く。 だれもが気づいているだろうが、新型コロナウイルス騒動で、いちばん利益を得たのは、マスコミ関係者である。具体的にはテレビラジオ新聞雑誌、ネット業者、それらに駄文を売って稼ぐ連中。コロナを話題にしさえすれば、金が入る。これほど…
国語の教材には、日本の古典、漢文の他に「現代文」がある。明確な定義はないが、明治以後の文章のことであろう。教材の現代文は、よい文章ばかりとは限らない。つまらない文章がある。これでも日本語かと疑うような、ひどい文章もある。その文章を細切れに…
戦争の結果とられた領土は、戦争しなければ取り戻すことができないのが道理である。もし戻るのなら、それ以上の対価を、相手国に払ってのことである。国家間の戦闘行為よりも、もっと大きなものを払うなんて、よほど法外である。すなはち、失った領土は戻ら…
清水幾太郎だったか、次のように言っていたと記憶する。 顔色悪く陰気で、人生の意味だの生だの死だのと、何かしら青臭い問題らしいものを抱えて悶々としている風の学生たちが、就職が決まるや否や、一応に明るく晴れ晴れとして憑き物が取れたように元気にな…
知人が言う。 中学生の頃、たまたまフロイトを読んで、たちまちにとりこになり、夢中になった。中学生といえば、身体も精神も、疾風怒濤の時期である。勝手に苦しんだり、戸惑いもしたが、そんな時、フロイト全集で、どれほど救われたことだろう。性は、だれ…
近くの大型書店によく立ち寄るが、相も変わらず駄本、ごみ本の山である。よくもまあ、こんなものを棚に並べて人様に売りつけるものだと感心する。書店関係者もそれを知って、辺本承知で置いているのだろう。短期でも売れさえすれば儲けものである。テレビな…
中学生から大学生にかけて、部活動の影響だかなんだか知らないが、とってつけたような敬語に類する言い回しをする子供が多い。先輩、何々です。何々ます。というように、ですます言葉なのだが、妙に気に障る。それもそのはずで、「場違い」なのである。教養…
教養というと、なんだか高尚な感じが、少しはある。辞書にも「単なる学殖・多識とは異なり」云々と、書いてある。しかし、もっと手近なところで考えよう。教養も、読書なしではその土台がない。ならば、教養とは読書のことでもある。かつて十数人の教育系大…